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夜明けに山月記を読み返す🌗⛰🐅

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1 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:15:20.16 ID:4d6Ybu09d.net 🐯・・・

39 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:35:43.41 ID:6GErUDFm0.net

まだやるんか

5 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:17:41.39 ID:vuyTL3ve0.net

現代語で書けや

18 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:23:38.89 ID:qLIG7O0t0.net

永遠に続けろ

15 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:22:13.20 ID:4d6Ybu09d.net

少し明るくなってから、谷川に臨んで姿を映して見ると、既に虎となっていた。

自分は初め眼を信じなかった。
次に、これは夢に違いないと考えた。夢の中で、これは夢だぞと知っているような夢を、自分はそれまでに見たことがあったから。

どうしても夢でないと悟らねばならなかった時、自分は茫然とした。そうして、懼れた。全く、どんな事でも起り得るのだと思うて、深く懼れた。

28 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:28:46.88 ID:4d6Ybu09d.net

人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。

己れの場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。これが己れを損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己れの外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。

今思えば、全く、己れは、己れの有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。

23 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:26:04.10 ID:4d6Ybu09d.net

 旧詩を吐き終った李徴の声は、突然調子を変え、自らを嘲るか如くに言った。

 羞しいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、己れは、己れの詩集が長安風流人士の机の上に置かれている様を、夢に見ることがあるのだ。岩窟の中に横たわって見る夢にだよ。嗤ってくれ。詩人に成りそこなって虎になった哀れな男を。

(袁傪は昔の青年李徴の自嘲癖を思出しながら、哀しく聞いていた。)

20 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:25:03.76 ID:4d6Ybu09d.net

一体、獣でも人間でも、もとは何か他のものだったんだろう。初めはそれを憶えているが、次第に忘れて了い、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか? 

いや、そんな事はどうでもいい。
己れの中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己れはしあわせになれるだろう。

だのに、己れの中の人間は、その事を、この上なく恐しく感じているのだ。ああ、全く、どんなに、恐しく、哀しく、切なく思っているだろう! 己れが人間だった記憶のなくなることを。

この気持は誰にも分らない。誰にも分らない。己れと同じ身の上に成った者でなければ。ところで、そうだ。己れがすっかり人間でなくなって了う前に、一つ頼んで置きたいことがある。

8 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:18:28.83 ID:4d6Ybu09d.net

一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。

或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。

彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。

25 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:26:50.67 ID:4d6Ybu09d.net

 時に、残月、光冷やかに、白露は地に滋く、樹間を渡る冷風は既に暁の近きを告げていた。人々は最早、事の奇異を忘れ、粛然として、この詩人の薄倖を嘆じた。李徴の声は再び続ける。

 何故こんな運命になったか判らぬと、先刻は言ったが、しかし、考えように依れば、思い当ることが全然ないでもない。

人間であった時、己れは努めて人との交を避けた。人々は己れを倨傲だ、尊大だといった。実は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかった。

勿論、曾ての郷党の鬼才といわれた自分に、自尊心が無かったとは云わない。しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。

14 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:21:39.73 ID:4d6Ybu09d.net

 今から一年程前、自分が旅に出て汝水のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふと眼を覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。声に応じて外へ出て見ると、声は闇の中から頻りに自分を招く。

覚えず、自分は声を追うて走り出した。

無我夢中で駈けて行く中に、何時しか途は山林に入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手で地を攫んで走っていた。

何か身体中に力が充ち満ちたような感じで、軽々と岩石を跳び越えて行った。

気が付くと、手先や肱のあたりに毛を生じているらしい。

11 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:20:20.23 ID:4d6Ybu09d.net

 叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。

4 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:17:28.47 ID:Qy51P42Gr.net

時残月定期

2 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:15:38.90 ID:4d6Ybu09d.net

山月記  中島敦

6 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:17:54.03 ID:4d6Ybu09d.net

数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。

一方、これは、己の詩業に半ば絶望したためでもある。曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才[しゅんさい]李徴の自尊心を如何に傷つけたかは、想像に難くない。

彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。

38 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:35:01.45 ID:4d6Ybu09d.net

(昭和17年2月発表)

30 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:29:49.14 ID:dwLX1NeA0.net

>>29
わかる

17 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:23:31.51 ID:4d6Ybu09d.net

それ以来今までにどんな所行をし続けて来たか、それは到底語るに忍びない。

ただ、一日の中に必ず数時間は、人間の心が還って来る。

そういう時には、曾ての日と同じく、人語も操れれば、複雑な思考にも堪え得るし、経書の章句を誦んずることも出来る。その人間の心で、虎としての己の残虐な行のあとを見、己の運命をふりかえる時が、最も情なく、恐しく、憤ろしい。

しかし、その、人間にかえる数時間も、日を経るに従って次第に短くなって行く。

3 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:17:00.81 ID:4d6Ybu09d.net

 隴西の李徴は博学才穎[えい]、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。

いくばくもなく官を退いた後は、故山、虢略[かくりゃく]に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら詩作に耽った。下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。

しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、曾て進士に登第した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。

27 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:28:27.20 ID:wgg8T9YD0.net

臆病な自尊心と尊大な羞恥心きたああああ

19 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:24:25.34 ID:4d6Ybu09d.net

今までは、どうして虎などになったかと怪しんでいたのに、この間ひょいと気が付いて見たら、己れはどうして以前、人間だったのかと考えていた。

これは恐しいことだ。
今少し経てば、己れの中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかり埋れて消えて了うだろう。ちょうど、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋没するように。

そうすれば、しまいに己れは自分の過去を忘れ果て、一匹の虎として狂い廻り、今日のように途で君と出会っても故人と認めることなく、君を裂き喰うて何の悔も感じないだろう。

35 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:34:05.89 ID:4d6Ybu09d.net

 言終って、叢中から慟哭の声が聞えた。袁傪もまた涙を泛べ、欣んで李徴の意に副いたい旨を答えた。李徴の声はしかし忽ち又先刻の自嘲的な調子に戻って、言った。

 本当は、先ず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己れが人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。

 そうして、附加えて言うことに、袁傪が嶺南からの帰途には決してこの途を通らないで欲しい、その時には自分が酔っていて故人を認めずに襲いかかるかも知れないから。

又、今別れてから、前方百歩の所にある、あの丘に上ったら、此方を振りかえって見て貰いたい。自分は今の姿をもう一度お目に掛けよう。

勇に誇ろうとしてではない。我が醜悪な姿を示して、以て、再び此処を過ぎて自分に会おうとの気持を君に起させない為であると。

32 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:30:36.45 ID:4d6Ybu09d.net

己れは昨夕も、彼処で月に向って咆えた。誰かにこの苦しみが分って貰えないかと。

しかし、獣どもは己れの声を聞いて、唯、懼れ、ひれ伏すばかり。

山も樹も月も露も、一匹の虎が怒り狂って、哮っているとしか考えない。天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人己れの気持を分ってくれる者はない。

恰度、人間だった頃、己れの傷つき易い内心を誰も理解してくれなかったように。己れの毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。

32 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:30:36.45 ID:4d6Ybu09d.net

己れは昨夕も、彼処で月に向って咆えた。誰かにこの苦しみが分って貰えないかと。

しかし、獣どもは己れの声を聞いて、唯、懼れ、ひれ伏すばかり。

山も樹も月も露も、一匹の虎が怒り狂って、哮っているとしか考えない。天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人己れの気持を分ってくれる者はない。

恰度、人間だった頃、己れの傷つき易い内心を誰も理解してくれなかったように。己れの毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。

22 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:25:41.93 ID:4d6Ybu09d.net

 袁傪は部下に命じ、筆を執って叢中の声に随って書きとらせた。李徴の声は叢の中から朗々と響いた。長短凡そ三十篇、格調高雅、意趣卓逸、一読して作者の才の非凡を思わせるものばかりである。

しかし、袁傪は感嘆しながらも漠然と次のように感じていた。成程、作者の素質が第一流に属するものであることは疑いない。しかし、このままでは、第一流の作品となるのには、何処か(非常に微妙な点に於て)欠けるところがあるのではないか、と。

31 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:29:49.49 ID:4d6Ybu09d.net

己れには最早人間としての生活は出来ない。

たとえ、今、己れが頭の中で、どんな優れた詩を作ったにしたところで、どういう手段で発表できよう。

まして、己れの頭は日毎に虎に近づいて行く。どうすればいいのだ。己れの空費された過去は? 己れは堪らなくなる。

そういう時、己れは、向うの山の頂の巖に上り、空谷に向って吼える。この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。

16 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:22:41.07 ID:4d6Ybu09d.net

しかし、何故こんな事になったのだろう。分らぬ。全く何事も我々には判らぬ。理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。

自分は直ぐに死を想うた。しかし、その時、眼の前を一匹の兎が駈け過ぎるのを見た途端に、自分の中の人間は忽ち姿を消した。

再び自分の中の人間が目を覚ました時、自分の口は兎の血に塗れ、あたりには兎の毛が散らばっていた。これが虎としての最初の経験であった。

13 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:21:00.46 ID:4d6Ybu09d.net

 後で考えれば不思議だったが、その時、袁傪は、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立って、見えざる声と対談した。

都の噂、旧友の消息、袁傪が現在の地位、それに対する李徴の祝辞。

青年時代に親しかった者同志の、あの隔てのない語調で、それ等が語られた後、袁傪は、李徴がどうして今の身となるに至ったかを訊ねた。草中の声は次のように語った。

33 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:33:05.99 ID:4d6Ybu09d.net

>>7>>31の李徴みたいやな
虎になった言うても喋れて詩も記誦できて友人にも会っとるのにもう自分が詩人をやれない理由を並べたてとる

7 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:17:58.34 ID:dwLX1NeA0.net

身につまされるが年齢的に今更どうにも出来ない

40 :風吹けば名無し:2020/10/11(日) 05:36:05.46 ID:dwLX1NeA0.net

>>33
せやな出来ない理由をすっ飛ばすべきなんやろな

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